デジタル終活のやり方|30分でできる5つのステップ
デジタル終活は、全部をやり切ろうとすると終わりません。最初の30分で形になるところまでを、5つのステップに分けて説明します。今日は途中でやめてもかまいません。
2026-08-07 更新
デジタル終活とは
デジタル終活とは、スマートフォンやパソコンの中の情報、契約しているサービス、ネット上の資産について、自分が使えなくなったときにどうしてほしいかを整理しておくことです。
通帳や保険証券と違って、デジタルの持ち物は引き継ぐ人から見えません。どこに何があるか分からないまま、支払いだけが続いたり、写真が取り出せなくなったりすることがあります。逆に言えば、一覧があるだけで、引き継ぐ人の負担はかなり減ります。
ステップ1:思い出せるものを、書き出す(約10分)
まずは紙でもメモアプリでもかまいません。いま使っているサービスや機器の名前を、思い出せるだけ書き出します。順番も分類も気にしなくて大丈夫です。
思い出すきっかけとして、次を見返すと早く進みます。
- スマートフォンのホーム画面に並んでいるアプリ
- クレジットカードや銀行口座の、毎月の引き落とし履歴
- メールの受信箱にある「ご請求」「更新のお知らせ」といった件名
特に引き落とし履歴は、自分でも忘れている契約が見つかりやすい場所です。
ステップ2:最初の6種類だけ、先に押さえる(約5分)
書き出したものが多くても、最初から全部を整理する必要はありません。次の6種類を先に押さえると、引き継ぐ人が困りやすいところをおおむねカバーできます。
- メール・基本のアカウント:Gmail、Apple ID、Googleアカウントなど
- スマホ・パソコン:本体の扱いと、中に入っている写真やデータ
- サブスク契約:動画配信、音楽、クラウド、月額のアプリ
- ネット銀行・証券・電子マネー:残高やポイントが残るもの
- 写真・作品データ:なくすと二度と戻せないもの
- SNS・ブログ:残すのか、閉じるのか
メールアカウントを先頭に置いているのには理由があります。多くのサービスは、パスワードの再設定や連絡の宛先にメールアドレスを使うため、ここが分かると他のサービスの手がかりにもなるからです。
ステップ3:それぞれ「どうしてほしいか」を決める(約10分)
一覧ができたら、1つずつ「残す」「引き継ぐ」「解約する」のどれにあたるかを決めます。迷うものは「未定」のままで問題ありません。あとから変えられます。
ここが、単なる一覧との違いになります。引き継ぐ人がいちばん困るのは、実は「何があるか分からないこと」より「これをどうしていいか分からないこと」だからです。「解約してよい」と一言あるだけで、判断の負担が減ります。
このとき、パスワードそのものは書かないでください。記録するのは「パスワード管理アプリに入れている」といった保管場所だけで十分です。理由はエンディングノートにパスワードは書いていい?で説明しています。
ステップ4:形にして書き出す(約5分)
整理した内容は、次の2つの形にしておくと引き継ぐ人に届きやすくなります。
- 引き継ぐ人に渡す資料:印刷するか、必要な人だけが確認できる場所に保存します。パスワードの保管場所などは載せない形にしておくと、置き場所に神経質にならずに済みます
- 自分用のバックアップ:あとから編集を再開するための控えです。暗号化したファイルとして保存し、開くための合言葉とは別の場所に保管します
紙で作った場合も、コピーを1部だけ別の場所に置いておくと、紛失したときに作り直さずに済みます。
ステップ5:保管場所を、口頭で伝える(約1分)
ここを飛ばすと、これまでの作業が届きません。本人だけが場所を知っている状態では、必要なときに見つけてもらえないからです。
信頼できる人に、次の2つを伝えておいてください。
- デジタルの持ち物をまとめた資料を作ったということ
- それがどこにあるか
中身まで説明する必要はありません。「机の引き出しに入れてある」程度で十分です。伝える相手は1人でも構いませんが、その人と連絡がつかない場合に備えて2人にしておくと安心です。
続けるための考え方
完成させようとしない
デジタルの持ち物は増えたり減ったりします。100点にしようとすると終わらないので、「思い出したときに1件足す」くらいの気持ちで十分です。
見直す日を決めておく
年に1回、誕生日や年末など覚えやすい日に見直すと、内容が古いままになりません。契約を増やしたときや解約したときに更新できれば理想的です。
順番を守らなくてよい
ステップ2まで済んだ時点でやめても、何もない状態よりずっと役に立ちます。途中でやめられることは、続けるうえで大切な条件です。
よくある質問
何歳くらいから始めるものですか?
年齢の決まりはありません。デジタル終活は亡くなったときだけでなく、入院や事故で一時的に自分で操作できなくなったときにも役に立ちます。契約しているサービスが多い人ほど、早いうちに整理しておくと楽になります。
エンディングノートや遺言書との違いは?
エンディングノートは人生全体について書き残すもので、デジタル終活はそのうちデジタルの持ち物に絞った部分にあたります。どちらも遺言書ではないため、相続や法律上の効力はありません。財産の分け方を決める場合は、公正証書遺言など正式な方法をご検討ください。
家族に見られたくない内容があります
すべてを書く必要はありません。書かないという判断も整理の一部です。また、引き継ぐ人に渡す資料と自分用の控えを分けておくと、渡す範囲を自分で決められます。
デジタルの持ち物を整理してみる
デジタル引継書は、使っているサービスや機器と「どうしてほしいか」を書き残せる無料のWebサービスです。会員登録もログインも不要で、書いた内容は端末の中だけで暗号化して保存します。
準備をはじめるこの記事とデジタル引継書は、希望を書き残すことを助けるものです。遺言書ではなく、法律・税金・相続上の効力はありません。実際の手続きは各サービスや専門窓口の公式な案内をご確認ください。