亡くなったあとも止まらないサブスクへの備え

月額のサービスは、本人が使えなくなったあとも自動で請求が続きます。引き継ぐ人が解約しようとしても、契約していること自体が分からないと手が付けられません。生前に用意しておける一覧の作り方を説明します。

なぜ、自動では止まらないのか

動画配信、音楽、クラウドの保存容量、スマートフォンのアプリ内課金などは、登録したカードや口座から毎月自動で引き落とされます。この仕組みは、本人が使わなくなったかどうかを判断しません。解約の申し出があるまで続くのが基本です。

カードを止めれば引き落としは止まりますが、契約そのものは残るため、未払いとして扱われることがあります。カードの解約と、サービスの解約は別の手続きです。

引き継ぐ人が困りやすい3つのこと

1. 契約していること自体が分からない

いちばん多いのがこれです。明細に表示される名前が、サービス名と一致しないことがあります。運営会社の名前や決済代行会社の名前で表示されると、何の請求か調べるところから始めることになります。

2. 解約の窓口が分からない

アプリ内で契約したサービスは、アプリの提供元ではなくスマートフォンのストア側で管理されていることがあります。この場合、サービスに問い合わせても解約できず、たらい回しになりがちです。

3. 年払いの契約が、あとから出てくる

毎月の明細を見て整理し終えたと思ったころに、年に1回の請求が届くことがあります。ドメイン、クラウドの保存容量、セキュリティソフトなどは年払いが多い種類です。

生前にできる備え:一覧を作っておく

特別なことは必要ありません。何を契約しているかが分かる一覧があれば、引き継ぐ人は各サービスの窓口から解約を申し出られます。本人としてログインする必要はないため、パスワードを書き残す必要もありません。

自分の契約を洗い出す3つの方法

  1. クレジットカードの明細を12か月分さかのぼる。年払いの契約もこれで見つかります。カード会社のサイトから確認できます
  2. 銀行口座の引き落とし履歴を確認する。カードを通さず口座から直接引き落とされているものがあります
  3. スマートフォンのサブスクリプション一覧を開く。iPhoneは「設定」から自分の名前を選び「サブスクリプション」、Androidは「Google Play」のメニューから「定期購入」で確認できます

3つ目は見落とされやすい場所です。アプリ内で契約したものはここにまとまっているため、まずここを開いてみてください。

一覧に書いておきたい項目

1件につき、次の内容があれば引き継ぐ人は動けます。

  • サービス名:明細に出る表記が違う場合は、それも併記しておく
  • 支払い方法:どのカードか、どの口座か
  • だいたいの金額と周期:月払いか年払いか
  • 解約の窓口:サービスのサイトか、スマートフォンのストア側か
  • どうしてほしいか:解約してよいか、しばらく残してほしいか

最後の項目が、実は重要です。写真の保存に使っているクラウドのように、すぐ解約するとデータごと消えてしまうものがあります。「データを取り出してから解約してほしい」と一言書いておくと、取り返しのつかない削除を避けられます。

解約してよいものと、順番を考えたいもの

種類例扱いの目安
見るだけのもの動画配信、音楽配信、ニュース解約してよい。データが残らない
データを預けているものクラウド保存、写真の保管、メール取り出してから解約する
他とつながっているもの携帯回線、主要なメールアカウント整理が終わるまで残す

3つ目の「他とつながっているもの」は、特に順番が大切です。多くのサービスは、手続きの確認コードを本人の電話番号にSMSで送ります。携帯回線を先に解約すると、そのコードが受け取れなくなり、他の解約手続きが進めにくくなります。月々の料金を惜しんで先に回線を止めるのは、実際によくあることなので、一覧の先頭に書いておくとよい項目です。

一覧の保管について

この一覧には、契約内容や支払い方法が並びます。パスワードを書かなければ、それ自体で口座を操作できるものではありませんが、生活の内容が分かる記録ではあります。引き継ぐ人が必要なときに見つけられて、かつ不特定の人の目に触れない場所を選んでください。

そして、作ったことと保管場所を、信頼できる人に口頭で伝えておいてください。本人だけが場所を知っている状態では、必要なときに使われません。

よくある質問

本人が亡くなったあと、家族が解約できますか?

多くのサービスでは、親族からの申し出による解約に対応しています。手続きの方法や必要な書類はサービスごとに異なるため、各社の窓口の案内をご確認ください。契約していることさえ分かれば、そこから進められます。

本人のアカウントにログインして解約してもよいですか?

本人以外がログインすることは、多くのサービスの規約で認められていません。窓口に問い合わせる方法をおすすめします。この点でも、パスワードを書き残す必要はありません。

入院などで一時的に使えなくなった場合にも役立ちますか?

役立ちます。デジタル終活は亡くなったときだけのものではありません。一時的に自分で操作できなくなったときにも、支払いを止めたり続けたりする判断を、家族が代わりにしやすくなります。

デジタル引継書では何ができますか?

サービス名、支払い方法、どうしてほしいかを1件ずつ登録し、引き継ぐ人に渡すPDFとして書き出せます。パスワードを書く欄はありません。使い方はデジタル終活のやり方で説明しています。

デジタルの持ち物を整理してみる

デジタル引継書は、使っているサービスや機器と「どうしてほしいか」を書き残せる無料のWebサービスです。会員登録もログインも不要で、書いた内容は端末の中だけで暗号化して保存します。

準備をはじめる

この記事とデジタル引継書は、希望を書き残すことを助けるものです。遺言書ではなく、法律・税金・相続上の効力はありません。実際の手続きは各サービスや専門窓口の公式な案内をご確認ください。