亡くなったあとも止まらないサブスクへの備え
月額のサービスは、本人が使えなくなったあとも自動で請求が続きます。引き継ぐ人が解約しようとしても、契約していること自体が分からないと手が付けられません。生前に用意しておける一覧の作り方を説明します。
2026-08-07 更新
なぜ、自動では止まらないのか
動画配信、音楽、クラウドの保存容量、スマートフォンのアプリ内課金などは、登録したカードや口座から毎月自動で引き落とされます。この仕組みは、本人が使わなくなったかどうかを判断しません。解約の申し出があるまで続くのが基本です。
カードを止めれば引き落としは止まりますが、契約そのものは残るため、未払いとして扱われることがあります。カードの解約と、サービスの解約は別の手続きです。
引き継ぐ人が困りやすい3つのこと
1. 契約していること自体が分からない
いちばん多いのがこれです。明細に表示される名前が、サービス名と一致しないことがあります。運営会社の名前や決済代行会社の名前で表示されると、何の請求か調べるところから始めることになります。
2. 解約の窓口が分からない
アプリ内で契約したサービスは、アプリの提供元ではなくスマートフォンのストア側で管理されていることがあります。この場合、サービスに問い合わせても解約できず、たらい回しになりがちです。
3. 年払いの契約が、あとから出てくる
毎月の明細を見て整理し終えたと思ったころに、年に1回の請求が届くことがあります。ドメイン、クラウドの保存容量、セキュリティソフトなどは年払いが多い種類です。
生前にできる備え:一覧を作っておく
特別なことは必要ありません。何を契約しているかが分かる一覧があれば、引き継ぐ人は各サービスの窓口から解約を申し出られます。本人としてログインする必要はないため、パスワードを書き残す必要もありません。
自分の契約を洗い出す3つの方法
- クレジットカードの明細を12か月分さかのぼる。年払いの契約もこれで見つかります。カード会社のサイトから確認できます
- 銀行口座の引き落とし履歴を確認する。カードを通さず口座から直接引き落とされているものがあります
- スマートフォンのサブスクリプション一覧を開く。iPhoneは「設定」から自分の名前を選び「サブスクリプション」、Androidは「Google Play」のメニューから「定期購入」で確認できます
3つ目は見落とされやすい場所です。アプリ内で契約したものはここにまとまっているため、まずここを開いてみてください。
一覧に書いておきたい項目
1件につき、次の内容があれば引き継ぐ人は動けます。
- サービス名:明細に出る表記が違う場合は、それも併記しておく
- 支払い方法:どのカードか、どの口座か
- だいたいの金額と周期:月払いか年払いか
- 解約の窓口:サービスのサイトか、スマートフォンのストア側か
- どうしてほしいか:解約してよいか、しばらく残してほしいか
最後の項目が、実は重要です。写真の保存に使っているクラウドのように、すぐ解約するとデータごと消えてしまうものがあります。「データを取り出してから解約してほしい」と一言書いておくと、取り返しのつかない削除を避けられます。
解約してよいものと、順番を考えたいもの
| 種類 | 例 | 扱いの目安 |
|---|---|---|
| 見るだけのもの | 動画配信、音楽配信、ニュース | 解約してよい。データが残らない |
| データを預けているもの | クラウド保存、写真の保管、メール | 取り出してから解約する |
| 他とつながっているもの | 携帯回線、主要なメールアカウント | 整理が終わるまで残す |
3つ目の「他とつながっているもの」は、特に順番が大切です。多くのサービスは、手続きの確認コードを本人の電話番号にSMSで送ります。携帯回線を先に解約すると、そのコードが受け取れなくなり、他の解約手続きが進めにくくなります。月々の料金を惜しんで先に回線を止めるのは、実際によくあることなので、一覧の先頭に書いておくとよい項目です。
一覧の保管について
この一覧には、契約内容や支払い方法が並びます。パスワードを書かなければ、それ自体で口座を操作できるものではありませんが、生活の内容が分かる記録ではあります。引き継ぐ人が必要なときに見つけられて、かつ不特定の人の目に触れない場所を選んでください。
そして、作ったことと保管場所を、信頼できる人に口頭で伝えておいてください。本人だけが場所を知っている状態では、必要なときに使われません。
よくある質問
本人が亡くなったあと、家族が解約できますか?
多くのサービスでは、親族からの申し出による解約に対応しています。手続きの方法や必要な書類はサービスごとに異なるため、各社の窓口の案内をご確認ください。契約していることさえ分かれば、そこから進められます。
本人のアカウントにログインして解約してもよいですか?
本人以外がログインすることは、多くのサービスの規約で認められていません。窓口に問い合わせる方法をおすすめします。この点でも、パスワードを書き残す必要はありません。
入院などで一時的に使えなくなった場合にも役立ちますか?
役立ちます。デジタル終活は亡くなったときだけのものではありません。一時的に自分で操作できなくなったときにも、支払いを止めたり続けたりする判断を、家族が代わりにしやすくなります。
デジタル引継書では何ができますか?
サービス名、支払い方法、どうしてほしいかを1件ずつ登録し、引き継ぐ人に渡すPDFとして書き出せます。パスワードを書く欄はありません。使い方はデジタル終活のやり方で説明しています。
デジタルの持ち物を整理してみる
デジタル引継書は、使っているサービスや機器と「どうしてほしいか」を書き残せる無料のWebサービスです。会員登録もログインも不要で、書いた内容は端末の中だけで暗号化して保存します。
準備をはじめるこの記事とデジタル引継書は、希望を書き残すことを助けるものです。遺言書ではなく、法律・税金・相続上の効力はありません。実際の手続きは各サービスや専門窓口の公式な案内をご確認ください。